Tuesday, May 22, 2018

読書感想「麦の海に沈む果実」




麦の海に沈む果実    恩田陸


ゴシック調の閉鎖された特殊な学園内部で起こる殺人ホラー風作品。
不気味に閉ざされた空間。
学園ミステリーなんだけど、とても薄ら寒い感じのする世界観でゾクっとするストーリーがたまらない。

情景が鮮明に頭に浮かんで来る。



隔絶した学園に転校させられた水野理瀬の過ごす四季、奇妙な校長や風変わりな生徒達の中で、後から続けざまに起こる殺人、校長の企みはなんなのか?、理瀬の正体は?、麗子は結局どこにいるのか?、誰が犯人なのか?



「三月は深き紅の淵を」という謎の本は誰が書いて誰が持ってるのか?、これでもか、と謎は山積みだ。

この本「三月は深き紅の淵を」と「黄昏の百合の骨」という本物の小説がどうやら続き物であるらしく「三月シリーズ」と言われていることも判明した。

なんとも続きがあったら読みたいと思って検索してたらわかった。




今気がついたんだけどね、赤川次郎っぽくもあるかな。


Wednesday, May 16, 2018

読書感想「アヒルと鴨のコインロッカー」





アヒルと鴨のコインロッカー   



これも映画化されてたー!
ちょっと悲しい結末と
雰囲気が春樹小説を思い出させる。


最近の読む本には、現在と過去の話が繰り返される時間軸が違うストーリーが多いな。
手法が流行りか??


ペット殺しの若者には怒りをたぎらせながら読んでいたので、琴美には感情移入した。だから余計に琴美の最期は残念だ。
ストーリーや人物が複雑に絡み合っているので、あらすじを事細かに書いても、本当の面白さは伝わらないかも。



ストーリー中のぼやけていた事実が終わりに近づくにつれ、真実がはっきり見えて来るので、切なさがどんどんこみ上げてくる。



動物を虐待する人間は許せない。



映画も見てみたい。


Monday, May 07, 2018

読書感想「遥かなる水の音 」




遥かなる水の音   


なんかいろんな賞をとっているみたい。



病に倒れた青年の遺灰を撒く為のフランスからスペイン、モロッコ、そしてサハラ4人の旅。
それは長い長い葬列の道行き。
亡き青年の心に思いを馳せて旅を続けるうちに、人生観が変わって行く。




旅路の描写はとても良くて、話し手をくるくると変えていく手法においてのそれぞれの心のタッチが繊細で、全体を流れる雰囲気は◯だったけれども、登場人物の魅力は感じなかった。
特にメンバーの2人(恋人同士)である結衣の浩介への感情的過ぎる邪見な態度にムカムカとした。




死んだ人物による心の描写もあって、死人もぼんやりと愛する人たちや親しい人たちを眺めながら、ちょっと自分の思いが感じられるのだが、それが結構リアルだった。本当にこうだったらいいなあ。


Wednesday, May 02, 2018

異文化コミュニケーション





時として人間同士の関係なんかは、方程式に入れ込むわけにも行かないので、たまには神経質なコミュニケーションがない方がうまく行く時もあるってもんですよね。



ふだんの暮らしのなかで、誤解が積み重ならないように、またつまらない衝突を避けるために、懸命になってわかり合おうとして躍起にコミュニケーションしてみたり、効率的な意思疎通とかを追いかけてしまいがちだけど、人のこころだか頭だかというものは、「感じ」やら「思い」やら「考え」をきちんと律儀に細かく伝えることなんてどうでもいい、というのが昔からの連れ合いの意見。