『マレーシアを定義するネームタグは?』

つい先日、ナジブ首相が、それぞれの国は、有名な場所、その国独特の特徴、製品などがあり、それらが、観光旅行、海外投資、または外交方針を促進するヒットポイントになる、と語っていた。

イギリスはシェイクスピア、英語や法律、フランスは料理、ワイン、ロマンス。イタリアは流行、スイスは言うまでもなく時計とアルプスが有名だ。アジアを見てみると、タイは微笑みの地、日本は桜、中国は万里の長城、インドはタジマハールやガンジスが色濃く知られている。
じゃあマレーシアは?コンピュータチップ産業か、いやいや、これではちょっと味気ない。外国人からのコメントを聞くと、いろんな答えが返ってくるようだ。
容易な暮らしと職場、企業優遇の方針、友好的な人々、食物。どれもこれも合っているかもしれない。
でもこれでは、国を世界にアピールするには、ちょっとあいまいすぎる。

マレーシアを一言で表わしたら何だろう?

まだ発展中の若い国家なので、定義するのは容易な事ではないだろう。
ナジブ首相は、国民に対してアイデアを求めており、それを世界に誇りを持ってアピールすべきであると述べている。
マレーシアは、かつて世界最大のゴムとすずの輸出国だった。
また今も天然ヤシ油の最大輸出国で、オイルとガスにしても大輸出国だ。グルメを見てみよう。
マレー、中華、インド、西洋、ニョニャ、すべての料理はここに揃っている。
ホスピタリティーあふれる国で、フェスティバル中には、観光者もオープンハウスを訪問できるなど、誰でも受け入れられるし、楽しめる。魅力ある自然の宝庫でもある。
(せっかくの歴史的遺産や自然を抱えていても、文化的な遺産に価値を見極める人があまりいないのが残念だが)
だから政府観光局の掲げているスローガン「Malaysia, truly Asia」は事実だ。

マレーシアは、寛大なイスラムを国教に掲げながらも宗教の自由が許されているし、多様な文化、民族、言語があり、それらが一緒に調和し適応している。
そうしたことと、進歩的な未来へのビジョン。
これらは現代のマレーシアのユニークな特徴だ。
でも、魅力は数多くても今一度ピンとこないし、一言で、簡潔に表わせないことにもどかしさを感じる。みんなが引き付けられるマレーシアの別個のイメージを、どういった言葉が象徴してくれるのだろう。どんな言葉が、世界にもっとマレーシアの魅力を広めることができるのだろう。

国は、世界中の人々が同一視できる一定イメージを持つことで機能する。例えば効率化といったら、シンガポールは世界中によく知られている。
マレーシアに来て、そのビジネス環境や倫理、スタイルに感銘しても、その話はあまり拡大していくことはない。
何か世界に意味のあるマレーシアでなければいけないのだが、それが見当たらない。政府は熟練された労働力に優秀なインフラ、最先端の安定した会社、知識集中型産業を促進しようとしており、また経済全般を強化し、より優れたリターンを投資者に提供するために対策を講じている。
マレーシアは、これから巨大国とビジネスで競い合っていくには、2倍の努力が必要とされているが、政治の安定したマレーシアは、文化や言語、ビジネス、社会で、すでに多様なバックグランドを持ち合わせているので、外国人が来ても、最適な場であるといえる。
私がマレーシアの魅力を思うところに、民族共存について、ちょっと話したい。
ここでは、多くの異なった文化、宗教、文化、習慣、言語、思想、概念、をもった民族同士が和気あいあいに複合している。違う民族の友達同士でも、時として一歩間違えば差別、そして友情破綻というスレスレのところで生活している。
でも、ここの人たちは、子供のころから他民族に対して、違いを認め合い尊重し合ってきており、でも異文化同士のジョークも言い合う、尊重といっても、他民族にゴマすりをする必要もないだろうし、だからといって、本音も言うし悪口だって言い合う。
でも最後までは、やりあわない。
共存すると決めたからだ。彼らは、そんな微妙な呼吸のバランス感覚にかけては天下一品だと思う。
それが、マレーシアの魅力を大きく醸し出しているのだ。

マレーシアの秘密。それは<何かに煽てられる、焦燥感が全く介在していない>心地よさだ、きっと。