Sunday, February 25, 2018

By accidental words.




昨夜、真夜中に雨が降ったせいで、明くる朝は爽やかな空気だった。
私たちは、滅多に登らないちょっと丘の上のガゼボに朝食を持っていって、ちょっとしたピクニックを楽しんだ。


遠征の長旅から帰ってきてから、日々の雑用に追われて、いつも一緒にいるものの、なんかたわいのないことを長い事はなしていなかったような感じでなんとなくほっと、座る。



きもちいね、とか、ずいぶん向こう側は新開発が進んじゃったね、とか、裏にあった牛小屋やなくなってしまうんだろうか、とか。

いろんな事が、どんどん変わって行くね、とふと口に出したとたんに気づいた。
「まだここに来て数年しかたっていないのに、長年いる老夫婦のようではないか」






こんな風に人生は終わっていくのだろうか。


やり残していた事を残して、あのことやこのことは、みんな過去の出来事になってしまい、ちょっと思い出してはなつかしくなるのだ。



いろんな切ない事も悲しい事も感じたりして。


Thursday, February 15, 2018

Longing for Brueghel.






ロブコヴィッツは、当時の大貴族で、芸術家の強力なスポンサーでもあった。
そのロブコヴィッツ家のコレクションを所蔵している宮殿は、プラハ城内の端っこにあるので、普通はプラハ城に行っても、その宮殿はあまり行かない場所らしい。どうりで、そこは別料金だったわけだ。でもそこでしか見ることの出来ない目当てが目当てだったので、寒い中わざわざ足を奥まで運び、料金を支払い入館。


ここには、プラハ国立美術館に収蔵されていたブリューゲルの「干し草の収穫」がプラハ国立美術館から返還され展示されているのだ。


ここは写真取り放題。

農民画家と言われているピーテル・ブリューゲル。

たまに奇怪なモンスターも出て来たりするが、いくつかの作品は、自然との交わりのなかで送る日常生活を大胆に、そして美しく表現している絵も多い。


本作は、1565年に制作された全6作品の連作月暦画であり、うち1作品は消失しているという。1年を6で割ると、1絵画は2ヶ月間の農民日常生活ストーリーとなるわけで、ここにあるのは6-7月の夏季における、農民の日常生活が描かれている。
現存するのは、夏を描いた本作、早春を描いた《暗い日》、秋の《穀物の収穫》、晩春の《牛群の帰り》、冬を描いた《雪中の狩人》の5作品だ。
4作品は全ててんでんバラバラ他の国のミュージアムにある。

本作は、全体に淡淡しているけど、遠近が濃淡でよく描かれていて、綺麗だ。
画面中央の下の部分には農作業の女性が3人歩いている。真ん中の女性は希望に満ちた若い顔でこちらを見ているのだが、手前の怒ったような表情の、厳しい顔つきの女性が気になる。
何をそんなに怒っているのだろう。。。?


館内には、モーツァルトやベートーベンの交響曲第4番、第5番肉筆の楽譜もある。



Friday, February 09, 2018

The book review “Travel, Zakka, Design, and to better sense of living”— Yuka Morii



「旅と雑貨とデザインとセンスがつながるくらし方」


友人である立体造形家、森井ユカさんの著作だ。
ユカさんには、 いつも会う時にご自分の本をプレゼントしていただき、とてもとても恐縮してしまう。

今回も、日本でお会いして、この最新本「旅と雑貨とデザインとセンスがつながるくらし方」をありがたく頂戴した。




昔は、本というのは自分が読んで、その内容が自分の頭の中で咀嚼され、感性とともに心の中に入ってしまったら、それが自分の血となり、それで終わりというか、あまり本というフィジカルな部分にはこだわらない方だった。

でも、最近は目のつけどころに変化が訪れた。

「その本がいかなる思いでつくられたか」というコンセプトや作り手の思い入れ、そこから見えるアウトプットのクオリティーさ、というものにも重点をおくようになってきた。



なので、この本は一言で言うと、「とってもすてきな本だ」



もちろんセンスが良いのはもともとなのだけれど、ユカさんの愛や思いがぎっしり詰まった一冊だ。

そして、本当にすばらしいデザインの中に文章とフォトがぎっしりと収められている。




 まずは表紙フォトに惹かれる。
麻雀の金太郎飴に、そうかー、このぬいぐるみのカラーコンビネーションはそういう理由があったのね。と楽しくなる。

ページをめくると、はじめに挿入された黄色い三角形のデザインが施された2パージがまず素敵。

心地よい、生活に根付いた雑貨を思い起こさせるような、懐かしいようなペーパーの質感。

この部分にはどのような思い入れがあったのだろうと、想像するだけでドキドキ。

そして、かわいらしいマッピング、カラーフォントの入れ具合、ここを見るだけでワクワクするような凝ったコンテンツ。

ページ端にあるさりげない薄いバーコード。

各エピソードごと仕切られた、付箋のようなカラー。

かわいらしい写真。

自分だけの目では、その良さに気がつかず素通りしてしまうようなセンスの良い雑貨達。

あまり言い過ぎると、ネタバレとかになっちゃいそうなので、ここでぐっと止めておこう。。。




それにしても搭乗ポイント修行は知らなかったな!




雑貨コレクターでもあり、そして旅の先輩として、精力的に世界を飛び回っているユカさん。

ちょうどいただいた時が、東南アジアから日本へ一時帰国、そしてヨーロッパに長期で旅をする途中だったので、フライトに関する事、それぞれのお国の雑貨や食事、と実質臨場感を持って楽しませていただいた。
チャンスがなくて行けなかった所、本を読んでから気がついて今度行きたなあと思った所も多い。
 そして私の旅はまだ続いている。



もちろん本には終わりがあるというのは当たり前なのだけれど、このままずっと終わらないで、ユカさんの世界にひたっていたいと願う締めだった。



ユカさん、これからもいろいろな世界を見せてくださいね。