Sunday, April 08, 2018

子猫




偶然にも2匹のめす野良猫が2月の終わり頃にやってきて、ほぼ同じ時期に出産した。


正確に言うと1週間違い。


先に産んだ方は、うちの住まいの裏の方で2匹、後からのはワーカーさんの家の方で7匹、産まれてすぐにワーカーさんが発見したので、たまたま会った猫のケージに布を敷いて、親も入れるようにしてそこで育っている。


うちの住まいの裏の方で産んだ方はというと、とっても人見知りをする猫で、餌をあげても、人が見ていると食べない。

そして、あまり覗いていたんじゃ母猫が食べてしまうんじゃないかと思い、あまり見ないようにはしていたんだけども、結構、その後、引っ越しを繰り返していた。
本当に注意深いお母さんだなあと思っていたところ、2匹の子猫がちょうど1ヶ月少しした頃だ。



ある日子猫の鳴き声がずいぶん近くからノンストップで聞こえるようになった。
「何処だ、何処だ」と探してみると、どうやら天井。
天井板と瓦の間で、外からたまにふわふわした身体が見えた。想像するよりも、動きが取れるスペースがあるらしい。
私は、ここに入れた母親の目的を考えてみたが、一番始めは「これまで通り、場所変えの一環なんだろう」と思っていた。

鳴くのは、一日中ではない。

次の日の朝も鳴いている声に気がついた。

このあたりから、結構そわそわと胸騒ぎがして、
というのは、ちょうど午前中に母親ともう一匹の子猫が一緒にいて、
そのもう一匹の方はかなりちょこまかと走れるようになっている。

この時期になって、もう一匹のみを安全のためにどこかに置いておくと言う事があるだろうか。
健全であるなら、そこに、本来もう一匹も一緒のはずではないか。

夜遅く、シャワーを浴びていると、屋根裏に通じる塀に母猫がいるのを見かけた。ああ、子供を忘れているわけではないんだな、とちょっとは安心した。


次の朝、3日目。
朝またかなり大きな鳴き声を天井裏からノンストップで発していて、お昼頃近くからはぴたっととまってしまった。
あんなに鳴いていて、 距離としては親にも聞こえる場所なのに、でもお母さんは知らん顔。


私は部屋にいても、なんだかそわそわしてしまって、死んでしまったらどうしようか、でもへたに助け出しても、それは猫の、せっかくお母さんが行おうとしている事への、言うなれば自然の節理に余計な事をしてしまうのでではないのか、と悶々と考えてしまった。


夕方、トイレに行くと、か細い声が聞こえ始めた。位置的にはずいぶんと違う位置だ。
天井も瓦で区切られてはおらず、結構歩き回れるスペースがあるのだろう。

鳴き声は、これまでの威勢の良いそれではなく、なんかもう消えてなくなりそうな、最後の力をふりしぼっているような(そういうイメージに勝手になってしまったのかも)
私は、鳴き声の方角に頼って、トイレに近い外側を見に行ってみた。


天井のわきは、ちょっとした穴が蟻あり、やはりそこから子猫が顔を出している。
瀕死の状態とまでにはいっていないが、切迫した様子でみゃーみゃー叫んでおり、こりゃやっぱり助けなきゃ、ということではしごに登って子猫をおろした。人の顔をみて逃げるのではないかと思ったが、その子は全然逃げなかった。





ということで、今、うちには一匹のお母さんが放棄した生後6週間の子猫がいる。

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