よかったなー。
超長編はやっぱりいい。
その世界に長時間のめり込むから読書後の余韻も長くなるのが長編の魅力だ。
「半自伝的小説」と帯に書いてある。
村山さんのお母様とご本人の小説なのだろう。
女というものはこんなにもホルモンが複雑なのであって、母親に抱く違和感は娘なら多くの女性におぼえがあるだろう。
時として私もその一人だ。
親子時代、小説のような波乱は全然なかったけど、
大人になるにつれ、どうして時として嫌悪感が生まれてしまうのか、自分の感情に不信感を持つ頃。
第三者から見てもあんなにいい母親なのに、
好きな親だからこそ、そして優しい娘を演じていながら心の中ではちょっと突っ張ねてしまう頃。
ひねくれた自分の気持ちに今度は自分自身に嫌悪を感じる頃。
親子といえども、個々の人間であり、娘が成長するにつれて相性があるということを知らされる頃。
自分自身の理論や感情がうまく噛み合わない心の中。
表面的にはとても仲良くやっているけど「親子だけど気が合わない」ということへの罪悪感。
確執の共感にホッとした女性読者も多かったのではないだろうか?
どんな親だって子供に対して無償の愛も持っている。
私たち人間はそれを知っているからこそだんだんお互いが歳を取ってくるとそんなことを突き詰めて考えることはあまりなくなってくる。
年老い、呆けて、小さくなっていくその姿を受け入れて娘は、母を愛おしいと強く思うようになる。
生まれ出て初めて成立した自分の存在は、わたしの中に彼女と同じ血が脈々と流れているということだ。
小説の中の毒親は、こりゃ頑固厳しすぎるわと思い、でも関西弁と父親のとぼけた語り口が楽しく読ませていただいた。
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