Wednesday, April 18, 2018

読書感想「東京島 」





東京島


第44回谷崎潤一郎賞受賞作。
わたしは映画は見ないたちなので、随分前に映画化になっていたのは知らないで読んだ。



このストーリーのキャストに本物の人間をつけるとしたらちょっと想像つかない(日本の俳優はほぼ知らないけど)と思いつつ、インターネットで映画予告を検索して見たら、この野生環境でほぼみんな狂人化しているのにみんなイケメン!と、自分の読書の中での想像とキャストの落差におののく。




無人島での31人の男たちと、ただ一人の女の清子のサバイバル物語。サバイバルのいろいろな状況展開のなかで、生きていくというのはどういうことかを浮き彫りにしている。




食べ物はどうにか足りるし、気候も厳しくはないが、周りは自然のみ・・都市から来た文明人に虚無的なものを突きつけている。
そして、その環境での人間の強さと弱さとを含む本質を描こうと試みている。




男と女の関係性の本質、男たちの集団というものの本質、極限での食欲と性欲への飢餓や、それらの順位の逆転、、、文字の抽象化と記録の力、宗教の意味、そして事象が一つ変わるごとに集団の質も変化する様はとっても巧みに書かれていて、その都度変化する1人女性の心理も描いている。





最後のちょっとのところで、数度にわたるストーリーのどんでん返しは、予想をコロコロと変えられ今までに経験したことのない読後感だった。

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