「鳩の撃退法」佐藤正午
上下でかなりのボリューム。
細部にこだわる佐藤氏独特の手法(?)
ミステリーのようでまた違った味。
ごちゃごちゃした人間関係。
ややこしい。
これでもかと時系列が行ったり来たり。
フクザツ〜としか言いようのないストーリーなのだが、これを読み終えた後には、その鬱陶しいと感じていた回りくどい表現の中毒となり、まだずっと読んでいたいと感じるようになるだろう。
振り回されるような感じの前半で、物語が動き出した中盤以降はきっと文体に慣れてきんだろーなー、結構さくさく読めた。
主人公、小説家の津田が、現実に見聞きした事実をつなぎ合わせて小説を書きつつ、編集者まで登場して小説の向かう先を言及しながら、その上現実の世界も進んでいくという、小説家が小説を書く現場3通りに読者が立ち会っている。
わざとそうしている(と思う)ややこしさは、あれこれ頭の中できちんと辻褄を合わせ、その都度クリアに理解しながら読み進めていくのは非常に大変。
なので、ああもうわかんなくてもいいー、そのうちどっかがどっかで繋がるだろうと、ドンドン読み進めていった。
行ったり来たりの日付もあったけど、深く考えず迷わず読み進める。
それでも、ここかしこに謎が多く散りばめられていて、一行も読み逃せないため慎重に読み進めた方だ。
皮肉屋で不良っぽくて、また妙に色っぽくもあり ユーモアを欠かさずリズムにおかしみのある小説家のキャラは、どうしても著者自身とダブってしまう。
そしてその中核には「そもそも小説って必要なのか?」「なぜ小説家は小説を書くのか?」という疑問がいつも問われているのも魅力。
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