ブルーアウト
鈴木光司の小説は昔から結構好きなのだ。
1ページ1ページがクリアでスッキリとした文、ひねくれたところが全然ない、それでいて全体のストーリーは緻密に練ったもので、野性と知性がミックスされたストレートな感触。
人間の優しさと愛に満ちていて、いつもロマンがある。
スポーツマンの明快さが文章に現れていて、読み終わった後も、後味が悪くない。
物語は、1890年に串本沖で遭難したトルコの船の史実に基づいていて、
過去と現在を交互に125年という時を経て因縁の糸がつながる命をかけた冒険だ。
鈴木さん自身もヨットを所有し、豊富な航海経験を持ちダイビングもやるそうだ。
自然に立ち向かい、常に危険と隣り合わせの海でその怖さを知り尽くした著者の経験も織り込まれている、危険な状況の描写は臨場感と迫力がある。
そして自然の懐の深さは私たち人間に生きるための哲学を教えてくれる。
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