Thursday, June 16, 2016

"At the back of the moon" book review.






まあなんとなしにスラスラとは読んでしまったけど、途中から収集がつかなくなってあまり感心する発想がなかったような感じを受けた。


ストーリー内には日本的な情緒が少しあるものの
後半は惰性で書いた、そんな印象の残念な作品だった。


面白く無くはないのだけれど、不十分で不満が残ってしまうとも言うべきか。。。





要約すると、
人間が水様の「何か」に乗っ取られて (何か大きなひとつのものの意識に取り込まれ) 個々の人格はそのままではあるけれど、どこか無意識の中で、同じ乗っ取られた他者と繋がっている。元の記憶や人格をしっかりとそのまま持っていて、中身も同じ人格のままという設定だ。


そこで主人公とそれを取り巻く人達が、「他者と異なる「個」でありたいと願う反面、「共同体」として「ひとつ」になりたい」という相反する生物的願望が書かれている。


とはいえ、「ひとつ」になった人達は、それまでの本当の人間だった時の人格をしっかりと持ったままなので大きな変化はない。極端なことを言えば、私は脳の中身が私のまんま、
見た目も私のままで、健康状態も良好なまま。




本当に起こったらともかく、小説として読むには、このくらいの変化や害もないのは、ちっとも怖くない。


生物学的には、たぶん人間ではないものになっているみたいなんだけど、「何故そのような変化が必要なのか」についても謎。
「何のために」という目的も、「人間全員が乗っ取られた後何かが起こる」という結果もオチもなにもない。



それでも何故か読み出したら止まらないというのは、ゆっくりとした雰囲気で、柔らかい文体、結局のところ文体が上手いのだろうか。

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