Wednesday, October 25, 2017

The book review of killing commendatore.







「騎士団長殺し」



待ちに待ったこの本を大切に読みたいと思い、ずいぶん前に購入したものの、仕事がひと段落するのを待ち、その次の大仕事に突入する間、10月に入ってようやく読み始めることとなった。
個人的には面白くて、徹夜で読んだ。


私はハルキストではないけども、やはりこの人の「プロの力量」には正直まいってしまった。



難しいことは考えなくていいと思う。



喪失と回復をテーマにした異世界をめぐるファンタジー冒険で、ムラカミワールドがふんだんなく詰まった小説だ。

いかにも村上春樹的な「私」が、いかにも村上春樹的なアイテムをはべらせて、いかにも村上春樹的な登場人物たちと、いかにも村上春樹的な会話や交流を持ちながら、いかにも村上春樹的な状況と謎に巻き込まれて物語は進んでいく。




主人公が画家なので、今回は絵を描く描写がおおいけど、この「私」が語る絵画論は、村上春樹本人の創作に対する意識なのだろうなあと思った。



これまでにも多かった現実世界と異なる世界、向こう側とこっち側を行ったり来たりする構造が、私たち心の奥深くある世界、またはどこか潜在意識などの人間概念や関連性はここでいうイデアとメタファーになっている。



村上春樹のパターンにはいつも、

●クラシック、またはジャズが好きな主人公
●熟女と知り合う
●喪失感や虚無感を抱えた主人公
●何かを探している主人公
●世界は2層になっていて、現実と異界が接触している
●壁とか井戸、地下、穴
●邪悪なモノ
●2重構造メタファー
●理由が明示されずに突然終わりを告げる夫婦生活
社会からデタッチされている僕

と挙げるときりがないが、今回は女性ではなく、援助してくれるのはみんな男性、
そして、最後には夫婦関係のやりなおしと子供を育てようと思える「安定した自我」や希望まで完成している試みでぶったまげる読者も多かったに違いない。

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