Tuesday, November 15, 2016

The book review "yesterday's curry, tomorrow's bread".




『昨日のカレー、明日のパン』。
面白かったかといえば面白かった。
あわあわとしている感じか。



短編で主人公を変えながら時空を越えた連続小説に仕上げたパターンというのは最近流行っているのか、偶然にそうした小説に当たるのか。。。?
描写が回帰的に連続して、終わりでまた静謐な描写の文体に戻る。


若くして夫を亡くし、死別後もその義理父と住んでいる女性。
奇妙な関係だが、2人とも心地よくて共同生活がやめられない。



でも個人的には「まだ若いんだからこれじゃあだめだよな」とお節介を言ってあげたくなってしまう。



 私たちは普通絶望を過去に置いて、希望を未来に置く。
あるいは過去に置いた希望が失われたことを現在の悲劇として描く。
本書はそのいずれでもない。
悲劇の本質はそのままだし、希望の本質もそのままである。
おそらくそれがセツコさんという全編を通した主人公の鎮魂の一つの可能性としてこの作品で開かれようとしているのかもしれない。




一つ驚いたことと言えば、原作者木皿泉というのは、夫婦のペンネームだったこと。

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