知らぬ間にタラピアの赤ちゃんが池の中でたくさん生まれていた。
小さくて白ごまみたいのがうようよいて、私はそれにずっと見入ってしまった。
動物の赤ちゃんには、だれもが心を引き付けられる。
前にも、稚魚が少なくなってるなあ、他の魚に食べられてしまったのだろうかと思っていると、ある日は大量に泳いでいたりする。
なんでたまに見つからない時があるのかなあと不思議に思っていたけど、その理由がやっと判明した。
タラピアの母親は,卵を産むとそれを口の中に入れて守る。卵がふ化すると,小さな稚魚は自由に泳ぎ回りまわるのだが、親のそばを離れることはない。危険が近づくと、口の中に入って身を守っているのだった。
魚とて、親子の親密な絆によって親が子どもを保護し、えさを与え,訓練し、世話しているなんて凄いじゃないか。
見ていると子供達が一箇所で泳いでいる間、母親は他の大きな魚を一切寄せつけない。
ちょっとでも他の魚が近づこうとすると、跳ね返すように威嚇している。必要を察知したり,状況をつかんで賢く反応したりする能力には心から驚いてしまった。
そしてそのうち親は口を大きく開け、底の方を掃除機で吸い取るように、稚魚を口の中に入れていった。
私は、この稚魚を一匹残らず口の中に入れて隠せるのだろうか?と興味深く観察した。
所詮タラピアだもんな〜。赤ちゃんはチョコチョコと動いているしなあ。
何匹は漏れていても、それでもう気にしないんじゃないかな、とタカをくくっていたのだ。
そうしたら、母親が何百匹という赤ちゃんを少しずつ口の中に入れている。
そして威嚇と吸い取りを繰り返しながらも、完璧に一匹も残らず口の中に入れてしまった。
心底驚いてしまった。
本能的にも子どもを世話する点で驚くべき才能を発揮するよなあ。
これじゃあ、とマレーシア人の「tidak apa-apa精神」よりよっぽど凄いじゃないか!
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