Friday, January 05, 2018

The book review “ in the silent town”.






奥田英朗の「沈黙の町で」。

 中学校のいじめを題材にした話。
どこにでもいる中学生とその家族、そして教師やマスコミ。

500ページ以上のシリアスな重い話だけど、夢中で読んだ。

奥田さんは、凄く軽い感じの話も天下一品だけど、こういうずっしりした話も上手い。



学校内で起きた転落死亡事故、徐々に明らかになってくる事故ストーリーでは、「加害者の親」「被害者の親」、教師、警察、弁護士、検察官、新聞社、当事者の中学生達などそれぞれの立場で、それぞれの目線での心理描写が、自制を変えながら、実にリアルに表現されている。 たくさんの人達がかかわり、それぞれの思惑が入り乱れている。

特に母親の「自分の子どもさえ・・・」という姿や、平凡な生活で、このような事件が勃発した時のパニックのサマ・・・。

結局のところ、「人間というのは自分のことしか考えられない」と、ストーリーの中でも何回も誰かが思っている。

のんきで、刹那的で、短絡的で、自分の事しか考えなくて、結局のところまだまだ子供で、残酷な中学生。
一番やっかいなこの時期、ちょっとした事でいじめや事故に発展してしまう危うさは、どこにでも発生する可能性がある事件なのだろうな。


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